現在、我が国は平均寿命80年という世界長寿国であり、国民の4人に1人が高齢者という超高齢国になろうとしています。青森県では、全国平均よりも早く高齢化が進み、在宅高齢者への支援やこれらを取り巻く環境に対しての様々な取り組みが始まっています。ケア付き青森ねぶた実行委員会では、これらの現実を見つめ、21世紀に向かって高齢化社会の理想的な生き方を模索し、高齢者が「生きいきと健やかに老いる」ことを目標に、このケア付き青森ねぶた事業を計画しました。
きっかけは、紙屋克子筑波大学教授(看護系)から、高齢者のねぶた参加の可能性を問われたことでした。徳島の阿波踊りに、脳卒中の後遺症を持つ高齢者の方が「ねたきりになら連」(寝たきりになってはいけませんの意)として参加しているが、同じ事を「ねぶた祭り」でできないかということでした。さまざまな障害によって介護が必要でも、車椅子を利用していても、祭りの渦に溶け込むことは、同じように障害を抱えている人、そこに関わる人に勇気を与えるに違いないと確信し、実行することに決めたのです。
実行委員会は医療、福祉関係者、民生委員の10名で構成し平成8年5月発足会を開きました。本番での団体名を「じょっぱり隊」(津軽の方言で意地っ張りに近い意)としました。老いや障害、社会の偏見に屈せず自己を主張し続けてほしいとの願いからです。
ねぶたの組の名を『じょっぱり隊』と名付けたのは、津軽の方言を引用し、自己を主張し続けるという意味あいを持たせ、閉じこもりがちな高齢者や障害者が社会のあらゆる偏見や障害に負けずに、逆に相互に支え合う心を育み、命輝けと願いを込め、名付けました。
実行委員会では、特にノーマライゼーションの思想を地域に根付かせる意図もあり、障害や年齢の枠を取り外しております。 「私が主役・みんなが主役」 をスローガンに、全国の障害をお持ちの方や高齢者の皆さんに、日本の代表的なお祭りである「青森ねぶた」に参加して頂きたいと思います。
障 害はいろいろで、たとえ車椅子であっても、あの熱気あふれる踊りの渦に溶け込む時、本人は勿論、家族や同じ後遺症を持つ人々、あるいはそれに関わっている人たちに、生きる喜びと勇気が沸いてくるに違いないと確信しております。また、これからの超高齢化社会の中で若者から高齢者までが共に手をたずさえて、明るくいきていける活力ある地域社会を創造していけるよう、心から期待してやみません。誰もが大切な一人ひとりであり、みんなが一緒に暮らせることが重要であることを忘れてはいけないはずです。
主催 ケア付き青森ねぶた実行委員会
後援 筑波大学 紙屋研究室
青森県県庁
青森県平内町役場
青森県医師会
青森三菱グループ
青森県連盟 ボーイスカウト 青森第4団
青森グリーンパークホテル・アネックス
協力 ボランテイアの方々
青森市で開催される「ねぶた祭り」は、28台の山車が、各々3000人のハネト(跳人=踊り手)を従えて市内をねり歩く、日本を代表する火祭りとして有名です。6日間の期間中に延べ370万人の観光客をよびます。華麗で熱気あふれる「ねぶた祭り」に県内外の高齢者や障害を持つ方に参加していただこうと、企画したのが「ケア付き青森ねぶた事業」です。心おきなく祭りを楽しんでもらうために、介護や介助などのケア体制を整えて参加者を募っています。
ケア付き青森ねぶた実行委員会では、『私が主役、みんなが主役』を合い言葉に今年も『じょっぱり隊』を結成。体の不自由な方や高齢者のみなさんも、日本の代表的なお祭りである『青森ねぶた』を体験し、たくさんの感動を味わって下さい。